麻薬

院内採用麻薬一覧

フェンタニル

外用剤
フェントステープ0.5mg
フェンタニルクエン酸塩1日用テープ1mg「テイコク」
フェンタニルクエン酸塩1日用テープ2mg「テイコク」
フェンタニルクエン酸塩1日用テープ4mg「テイコク」

舌下錠
アブストラル舌下錠100μg
アブストラル舌下錠200μg
アブストラル舌下錠400μg

注射剤
フェンタニル注射液0.1mg/2mL「第一三共」
フェンタニル注射液0.5mg/10mL「テルモ」

モルヒネ

内服薬
オプソ内服液10mg
MSコンチン錠10mg

注射剤
モルヒネ塩酸塩注射液10mg/2mL
モルヒネ塩酸塩注射液50mg/5mL

オキシコドン

散剤
オキノーム散2.5mg
オキノーム散10mg

錠剤
オキシコドン徐放錠NX5mg
オキシコドン徐放錠NX10mg
オキシコドン徐放錠NX20mg

注射剤
オキファスト注50mg/5mL

ヒドロモルフォン

錠剤
ナルサス錠2mg
ナルサス錠6mg
ナルサス錠24mg(在庫なし)
ナルラピド錠1mg
ナルラピド錠4mg(在庫なし)

注射剤
ナルベイン注20mg/2mL

ケタミン

注射剤
ケタラール静注用50mg/5mL
ケタラール静注用200mg/20mL

レミフェンタニル

注射剤
レミフェンタニル2mg

ペチジン

注射剤
ペチジン塩酸塩注射液35mg/1mL

痛みの評価

  1. 痛みの原因の評価(身体所見・画像所見)
  2. 痛みの評価(患者の自覚症状から)
    • 痛みの部位
    • 痛みの経過
    • 痛みのパターン(持続痛と突出痛)
    • 痛みの増悪因子・軽快因子
    • 痛みの強さ
    • 痛みの性状(体性痛・内臓痛・神経障害性疼痛)
    • 痛みの治療の反応(レスキュー薬の効果・副作用も含む)
    • 日常生活への影響
    • 痛みや鎮痛薬に関する患者・家族の認識
    • 精神的・社会的・スピリチュアルな側面
    • 疼痛マネジメントに対する患者の満足度

ナロキソン注投与方法

  1. 1回量として0.04~0.08mgを静注する。
  2. ナロキソンはオピオイドに比べて半減期が短い(作用時間約30分)
    症状に合わせて30~60分毎に複数回に分割して投与する。
  3. 過量投与前の意識レベルに回復した時点でナロキソンは中止し、オピオイドを再開を検討する。

レスキューの設定

  • 経口投与におけるレスキュー量
    1回量:定時オピオイド投与量の原則1/6量(10~20%相当)
    間隔:30分~1時間あけて
  • 持続注射におけるレスキュー量
    1回量:1日投与量の1/24量(1時間量)
    間隔:15~30分あけて

切り替えタイミング

  1. 経口薬からの切り替え
    • 12時間徐放製剤 → フェンタニルテープ
      最終内服と同時に貼付開始
    • 12時間徐放製剤 → 注射薬
      最終内服の12時間後に注射薬開始
    • 12時間徐放製剤 → 24時間徐放製剤
      最終内服の12時間後に内服開始
    • 24時間徐放製剤 → フェンタニルテープ
      最終内服の12時間後に貼付開始
    • 24時間徐放製剤 → 注射薬
      最終内服の24時間後に注射開始
    • 24時間徐放製剤 → 12時間徐放製剤
      最終内服の24時間後に内服開始
  2. フェンタニルテープからの切り替え
    • フェンタニルテープ → 注射薬
      テープ剥離の6時間後に予定量の半量を開始、12時間後に全量へ
    • フェンタニルテープ → 12時間徐放製剤
      テープ剥離の6〜12時間後に内服開始
    • フェンタニルテープ → 24時間徐放製剤
      テープ剥離の6〜12時間後に内服開始
  3. 注射薬からの切り替え
    • 注射薬 → 12時間徐放製剤
      注射薬終了と同時に内服開始
    • 注射薬 → 24時間徐放製剤
      注射薬終了と同時に内服開始
    • 注射薬 → フェンタニルテープ
      注射を持続したままフェンタニルテープを貼付、6時間後に注射薬を半量へ減量、12時間後に注射薬を中止

モルヒネ

μ (1,2)、κ、δ受容体に作用
M6Gは鎮痛作用をもつ(腎機能低下者では蓄積に注意)
副作用:便秘、眠気、悪心・嘔吐、せん妄など眠気、ただし、悪心は耐性あり
呼吸困難に有効(適応外)治療用量では酸素飽和度の低下、呼吸抑制は起こさない
呼吸困難に対するモルヒネ使用による死亡率上昇は報告されていない

オキシコドン

μ(1,2)、κ受容体に作用
鎮痛作用はモルヒネの1.5倍
鎮静、せん妄、悪心、掻痒感の発現頻度はモルヒネより少ない
肝臓で主代謝物であるノルオキシコドン(CYP3A4)とオキシモルフォン(CYP2D6)に代謝される。オキシモルフォンは活性を持つ。
副作用:便秘、眠気、悪心・嘔吐
オキシコンチン錠ではゴーストピル

フェンタニル

μ1受容体選択的
経口モルヒネの75〜100倍の鎮痛効果をもつ
肝臓でノルフェンタニルに代謝(CYP3A4)される
フェントステープは安定するまでに2日間かかる
他のオピオイドより便秘、眠気、せん妄などの副作用頻度が低い
他のオピオイドからフェンタニルに切り替えた場合、退薬症状が出ることがある
アブストラル舌下錠はタイトレーションが必要
注射剤は皮下に貯留するため皮下投与はできない
静注でモルヒネ、オキシコドンに比べて作用発現が速い

2020/6/29 フェントステープが他のオピオイド未使用患者にも使用可能となった

ヒドロモルフォン

1920年代より約80年間使用されている。日本では2009年に要望し2017年より使用可能。
オピオイド鎮痛薬非使用のがん疼痛患者を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、オキシコドンに対する非劣性
ヒドロモルフォンはCYPによる代謝を受けず、誘導・阻害作用も持たない
代謝物H3Gは神経興奮作用を持つ。高用量、長期使用ではせん妄のリスク?臨床上はモルヒネよりはリスク低いとされている。

タペンタドール

μ受容体とノルアドレナリン再取り込み阻害作用をもつ
主な代謝経路はグルクロン酸抱合(CYPもわずかに関与)代謝物は活性を持たない
便秘、悪心、嘔吐等の消化器系の副作用が現れにくい
Tamper-resistant for-mulation(TRF)錠剤の粉砕不可
速放製剤はない

メサドン

μ受容体への作用とNMDA受容体拮抗作用、セロトニン再取り込み阻害作用をもつ
代謝にはCYP3A4, 2B6,2C8, 2C9, 2C19, 2D6が関与
脂溶性が高く、タンパク結合率も高い
半減期が長い(約38時間)、7日間は増量しない
薬物動態の個人差が大きく、投与量の調節が困難
重篤な副作用としてQT延長や心室頻拍による不整脈があるため心電図測定が必要
処方医、調剤薬局が限定されている